団体案内

pr_yuko

会長挨拶

　「臨床宗教師」とは、布教・伝道を目的とせずに、被災地や医療機関、福祉施設などの公共空間で心のケアを提供する宗教者です。様々な専門職との協働の中で、宗教者としての体験や経験を背景にしながら、相手の価値観を尊重し、苦悩や悲嘆を抱える方々と共に歩みます。

　「臨床宗教師」の活動は、2011年3月11日に発生し、甚大な被害を及ぼした東日本大震災を機に、宮城県内の諸宗教が協力し、医療・福祉・研究者等の専門職と共に行われてきた被災地支援、さらには被災者への長期的な心のケアを提供すべく設立された「心の相談室」の活動に端を発しています。

　その活動の中で実感された、被災地に限らず、医療・福祉などの公共の場でも、つらさや悲しみに向き合うことのできる宗教者が求められているとの達見により、2012年、国立大学東北大学大学院文学研究科に、「実践宗教学寄附講座」が設置され臨床宗教師の養成がはじまり、現在は全国8箇所の臨床宗教師養成教育プログラム認定機関で「臨床宗教師」の研修が行われ、今に至ります。

　文字にすると数行で収まるこの時間ですが、この時間には当会諸先輩方はもちろんのこと、未曾有の災害による深い悲嘆に向き合い、その場に在り続けてきた全ての宗教者、医療・福祉関係者、研究者の方々の粒々の辛苦、そして、東日本大震災で被災され、今も深々の心苦を抱える全ての方々の、はち切れんばかりの想いが折り積み重なった時間です。

　今、東北臨床宗教師会会長という重責を背負う時、現在までの「時」にゆっくりと思いを馳せ巡らせます。そして、それを強く抱えながら、一方では、10年後、20年後、将来の東北の人々の「時」を想像します。その頃の東北はどんな環境だろうか。人々は安穏に暮らしているだろうか。その時、つらさや悲しみを抱えているのであれば、宗教者としてできることがあるだろうか。

　その「時」と「時」のはざま、ものすごい速さで変化し続けるはざまの中で、当会員同士はもちろんのこと、「臨床宗教師」と協働する全ての方々、協働しようとする全ての方々と共に、東北の人々の安寧をひたすらに祈りながら、オロオロと右往左往に調律を繰り返して歩き続け、次の「時」につなげることが、今の「時」の私たちの役目であろうと考えます。

　また、もう少しその「時」を広げると、「臨床宗教師」は忽ち現れたわけではありません。それ以前、過去連綿と宗教者たちは人々の安心を祈り、苦しみを抱える人々と共に在り続けようとしてきましたし、それはこれからも未来永劫続いていきます。その幾重にも重なる肥沃な土壌があって、はじめて「臨床宗教師」が在り、また、私たちも将来の土壌で在ることを想像する時、私たちは決して特別ではなく、すでにその広大無辺のつながりの中に居ることに気づきます。そのつながりを訪ね、尋ね続けることによって、今の「時」の私たちが為すべきことが浮かび上がってくるのかもしれません。

　最後になりますが、いままでと変わらぬご理解とご協力、また、ご指導やご助言をお願い申し上げ、会長挨拶とさせて頂きます。宜しくお願い申し上げます。

2024年12月吉日

東北臨床宗教師会 会長
小山田和正

役員

会　長：　小山田和正（日蓮宗・青森県）
副会長：　阿部頌栄（日本ナザレン教団・宮城県）
副会長：　小向善幸（天理教・青森県）
副会長：　石井祐晃（真言宗豊山派・福島県）
理　事：　斎藤信悟（天理教・青森県）
　〃　：　三浦賢翁（曹洞宗・秋田県）
　〃　：　曽場浩代（真宗大谷派・岩手県）
　〃　：　妻鳥絋明（曹洞宗・山形県）
　〃　：　松山宏佑（曹洞宗・宮城県）
　〃　：　吉田俊英（曹洞宗・宮城県）
　〃　：　金田諦晃（曹洞宗・宮城県）
　〃　：　武田景子（真宗大谷派・福島県）
　〃　：　新田忍澄（高野山真言宗・日本臨床宗教師会理事）
　〃　：　月原登美子（看護教員・宮城県）
監　事：　氏家栄宏（曹洞宗・宮城県）
　〃　：　田中嘉章（保守バプテスト同盟・福島県）
事務局長：高橋悦堂（曹洞宗・宮城県）

各事業委員会

・電話相談事業委員長：松山宏祐
・広報事業委員長：石井祐晃
・研修事業委員長：金田諦晃
・東日本大震災追悼および災害対応事業委員長：阿部頌栄
・会員交流事業委員長：事務局長兼任
・外部団体連携事業委員長：高橋悦堂

倫理委員会

委員長：古林俊晃（浄土宗・宮城県）
委　員：吉田裕昭（曹洞宗・宮城県）　細谷朋子（カトリック・宮城県）

会員の所属教団（順不同）

真言宗醍醐派／曹洞宗／高野山真言宗／浄土宗／在日大韓基督教団／金光教／日本ナザレン教団／カトリック／真宗大谷派／保守バプテスト同盟／禊教／時宗／真言宗智山派／日本基督教団／基督聖教団／浄土真宗本願寺派／日蓮宗／宮城県神社庁／天理教／真言宗豊山派／真宗木辺派

会員総数：53名（令和6年10月現在）