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報告:山形県戸沢村を訪れました

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8月27日(豪雨災害から1ヶ月経過時点)、当会代表代行の阿部頌栄氏と山形県理事の妻鳥紘明氏は山形県戸沢村蔵岡地区に赴きました。

この地区は先の7月25日に、これまでにない規模の豪雨による最上川の氾濫によって、蔵岡地区に住むほぼ全ての住宅(約70戸)が浸水し、甚大な被害があった地域です。

現地の状況

地域住民のほぼ全世帯が避難所生活を余儀なくされる中、この1ヶ月の間に、戸沢村ボランティアセンターが立ち上がり、全国からボランティア有志が集まり、8月27日現在で延べ2,000人に迫る方々の協力があったとのことです。住居および家財道具類の解体・整備、周辺道路の整備は見た目の上では、想像以上に進んでいるように見受けられました。(写真1写真2)

写真1
写真2

被害に遭われた長林寺住職齋藤仙邦住職にお話を伺いました。(写真3)

写真3

地域崩壊の危機

「最上川中流のこの地域は、最上川と鮭川の合流地点になっていて、何度も浸水の被害を繰り返している歴史がある。」

「行政と協力して、堤防をつくってかさ上げしたり、輪中堤を建設したりと、様々な対策を図ってきた。」「にも関わらず、今回は堤防を乗り越えてなんだから・・・住民はもう安心が得られない。今後どうやったら住民の安心を得られるのか それがなければ住民はもうこの地域に戻らないだろう・・・」

既に建物の取り壊しを始めた方もいます。

齋藤住職の言葉から、この地域全体がバラバラになり崩壊の危機にあること、どうしたら地域にまた住人が安心して住み続けることができるのか、出口の見えない問いに、苦悩の表情が滲み出ていました。

お寺が持っている意味とは

齋藤住職は今回の豪雨災害を機に、改めて「お寺がある意味」について考えさせられたと言います。

豪雨のあった翌日に、「先祖のお位牌がどうなっているか心配で…」とお寺に駆け込んでこられ、先祖のお位牌を大切に扱っているお檀家さんのお姿をみたり(写真4写真5)、また、お盆にお墓で、「先祖代々住んだ家を守ることができなくて申し訳なかった」と先祖に手を合わせたご家族をみて、「お寺には、自分たちが生きてることの意味をもたらす何かがある」と考えを新たにしたと言います。

写真4
写真5

ボランティアの力

「長林寺は本当に有難いことに、復旧活動がかなり進んでいる」とのこと。

その復旧の影には、ボランティアとして活動に参加されている方々の存在無くして語ることはできないと言います。宗門のネットワーク、協力寺院の支援、そして何よりそこに関わる方々の人脈がボランティアとなって、救いの手を差し伸べて下さったとのこと。「いざというときに、まるで雲でも沸いたように現れてくるボランティアという人達に今の日本はどれだけ救われているか」

「時代は変わった。以前ならば、災害があれば専門の人や親族が来てくれたものだけど、今は普段は見えないボランティアというネットワークで世界がつながっていて、思いもかけないような人達が来てやってきてくれる。それにどれだけ助けられたか。」(写真6)

写真6

災害支援の言葉に「泥を見ずに人を見る」という言葉があります。

私たちは、何処かで災害があると、被害の大きさや、その悲惨さに目を奪われてしまいがちです。しかしながら、本当に見なければいけないのは、壊れた泥まみれの家屋ではなく、そこにいる人々の心なのです。

ボランティアに入った青年僧侶達(写真6)。災害に遭ってもなお、笑顔のお姿には、「これからも生きていてもいいんだ」という勇気を与えて下さっているように思えてなりません。なんと頼もしく、どれだけ救われたことでしょうか!

心の拠り所としてクラウドファンディングを起ち上げ

このような壮絶な体験と、思いもよらない方々との貴重な出会いによって、齋藤仙邦住職は「もう一度地域を再興する」という決意を新たにしたと言います。

「地域のほとんどの方々のご先祖様をお守りしている寺院としては、檀家さんを勇気づける意味でも、多くの方の心ある支援により、泥にまみれた状態から立派に復活した寺の姿を見せたい、そしてそれによって、地域の人たちにも自分たちは決して見捨てられていないのだ、日本の心ある人々に支えられているのだと感じていただけるのであれば、それは仏の心にも叶うものではないかと考えました。何度踏みつけられても、打ちのめされても、支えて下さる誰かがそこにいる限り、人は何度でも立ち上がることができる。」

クラウドファンディングを通じて、皆様に広くご支援を賜ることによって、そんなことを確信する機会にできればと思うに至りました。(下記掲載記事より引用)」

最上川中流氾濫で水没した戸沢村蔵岡の心の拠り所としての長林寺を復活(蔵岡長林寺 2024/08/23 公開) – クラウドファンディング READYFOR

東北臨床宗教師会は、この活動を支援し、見守って参る所存です。

なお戸沢村社会福祉協議会で運営しているボランティアセンターへ僅かではありますが、物資を寄附して参りました。またセンターの責任者に現状をお聞き致しました(写真7写真8)。

写真7
写真8

被災された地域の住民の心のケアが必要な時が、迫っているとのことでした。

「聴く」ことを通じて、地域の方々と、どのような場所でどのような関わりを持ち得るか。

これからの展望を見守ってまいります。

東北臨床宗教師会 妻鳥紘明 記

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